バイト先での出来事
店長が、今日休んだ
昨日から体調が悪かったのだが、今日の朝、来てすぐ帰ったようだ
ぼくは昼から仕事だったので、店長がいるものと思って店に着くと、電話の前で従業員の先輩が電話で既に帰宅していた店長と会話していた
今日も休みらしい
ほかの従業員(昼は女性しかいない)も集まって、ことの顛末を見守っていたのだが、一人の先輩が「代わりな!」と言って受話器をその先輩から奪った
そしてキレた
もちろん電話を切ったのではなく、電話の向こうの店長にキレたのだ
「なにしてんの!?」
「なんで連絡しないの!?」
「あり得ないんだけど」
「昨日あんたの代わりに入った人、すごく困ってたんだけど!」
店長と従業員という関係からは考えられない、ズバズバ喋る姿は、かっこいいと同時に、久しぶりに女の人がガチギレする様を見て恐怖を覚えた
単純に、こえぇ……、と思った
先に話してた先輩が、「菊池くん、両替行ってきて?」と言ってぼくは店を一旦離れたんだけど、しばらくキレてる姿が脳裏に焼き付いていた
恐いと言いつつ、実は、可愛さも感じていた
そしてこっちの方が大事だったりする
パートの女性陣は、若い人ではなく、主婦というか、人生経験が豊富な人たちばかり
なのに、先輩は怒ってるとき、「あんたの代わりに入った人、すごく困ってたんだけど!」と言ったのだ(実際は、その代わりの人の本名を叫んでたんだけど)
なんか、女子小学生が怒るときに、「まゆちゃん泣いてたんだよ!」と言ってるのと似たものを感じたのだ。女性らしい怒り方というか、男だと、自分が不都合になったときに怒るけれど(部下の書類ミスとか)、女は他人の感情が揺れたときに怒る
この人の感情をなんだと思ってるの!?と怒るのである。もちろんこれだけなはずはないが、男にはなかなかない怒り方ではないだろうか。逆に言えば、男が感情を起点に怒ってると、女々しいと思われるような気がする
もうひとつ、その先輩は怒りながらも、周りの人(ぼくも入っている)に対して「みんなもそう思うでしょ?」というメッセージを送りながらキレていた
これも女性らしい、いや、女の子らしい
常に周りを固めなから自分の言いたいことを言っていた、女が固まると怖いのは、その団結力によるものだろう
女の人が怒ると恐いのは(今気づいたけど怒の字の中に女と心が入ってる……又は、三股とかによる心の揺れなのかな……)、第一に偏見として女は怒らないってことがあるのかもしれないけれど、もっと構造的に、感情を武器にしてくるのと仲間を常に隣に置いているから、つまり団体戦だからなのだと知った
男と女だと、からだのつくり的に、男の方が絶対に強い。だからこそ、昭和の女性(バレたら殺される)は、本能的にか意識的にか、今日の先輩のような喧嘩の戦術を身につけたのだろう
「あの子泣いてたんだよ! どうすんの!?」と女性3人に詰め寄られたら、ぼくは言葉を無くすだろう。「君いつになったら仕事できるようになるの?」と言われても、とりあえず「すみません」とは答えられる
何が言いたいかと言うと、何歳になっても女性は女の子なんだなと。頭のキレる他人が女の子要素を持ったとき、女は無敵になるのだと
男に負けまいと一本立ちする女性が多いこの平成の時代、今一度昭和に立ち返り、戦術を得ることで、かえって女の時代が来るのではないかと思いました