「忘れる日本人」
久しぶりに観劇
春風舎の三浦企画以来だから、1ヶ月とか
「忘れる日本人」
何言ってるか、セリフがよく聞き取れなくて困ってたんだけど、はっきり喋ってくれるから聞こうと思えたし、早口で喋ることで「いいからとにかく聞いとけ!」と告げられているようで退屈しなかった
なにより、紐によって四角く囲まれてるそのボーダーとなる紐を、超えたとき、ふわふわとなる音楽と空間が心地よくて、ストレスゼロだったし、超える、超えないっていう舞台の設定が、構造が、ゲームみたいで楽しかった
船に乗り、家の中のことを話している
外に出て、海の向こうのことを話してる
線を超えて、酷いことをする
たったこれだけだけど、セリフがきちんと聞こえなくても伝わるって、地点のすごいところだと思う
グローバルな感覚を知っているんだなと思う、羨ましい
観客が舞台に入り、船を持ち上げるというシーンがあった
観客から7人ぐらい?募集して、一緒に舞台の中央にあり、中道具である重そうな船を持ち上げようということだった
テンションが上がってたので、入って持ち上げた
背が低いので、本来なら神輿みたいに持つべきなんだけど、肩に乗っけられず、ただ持ち上げるような形になった
そのせいで肩がものすごく痛かった
痛い中、「右に曲がります」って言われて、「右? 話の内容的にも保守的なこと言ってんのかなあ?」と思いながら、ひぃひぃ言いながら運んだ
結局五回ぐらい右に右にと言われ、舞台を二週ぐらいした
そして運び終わって、ようやっと終わった、俳優の人からも観客席からも拍手が溢れた
いいことしたなあっと思って席に戻ると(ちなみに最前列に座ってた)、俳優たちがその船に乗り、こちらを見てきた
その目は、「今、あなたが動かしましたね?」と、問い詰めていた
二度三度四度と見てくるのだけど、そのどれもが胸に突き刺さる
あ、おれ、歴史つくったんだ、ってそのとき気づいた
そしてその船は、俳優たちによって運ばれて、ボーダーだったはずの紐を突き破り、舞台の上から線が消えた
ボーダーがなくなった世界で、俳優たちは、中道具を運びながら彷徨うしかなかった
おれは過去を忘れることもあるけれど、それよりも、自分が歴史を、たった今この瞬間にも作っているのだということを忘れていた
歴史を作り、未来を作るというこの責任を忘れていた