私は特別な人間なのか
私は特別な人間なのだろうか
私がほかの人と明らかに違うのは、DNAだけである。それ以外は決して、私は他人との区別はない
私は天才ではない。私の書けるものはほかの人も書けるし、私の考えることは他の誰かも考えることが出来る。センスもも凡庸であり、捻った返しなどできない
私にしか見えないものはない。私の色覚は多くの人とほとんど同じである。視力が悪いが同じぐらいの視力の人は多い
私は常に便秘気味で、お腹が出てる。お尻のかさぶたはなかなか治らずイライラしている。つまり想像上のOLである
私のファッションセンスは壊滅的である。しかし同じような悩みを抱える人は数しれず、ファッション誌の数がそれを裏付けている
こんなことを考えていると、私は、他人との区別のつけ方がわからなくなってしまった。いったい周りの人々は、自己と他者をどう区別しているのか
たとえば、世界の電気が消え、魔法の力で北半球も南半球も全てが真っ暗な夜になった時、どこまでが自分でどこからが他人か、確認する方法などあるのだろうか。もうそこには、からだしかないのではないだろうか
心や性格といった、精神的個性を、その暗闇の中で信じきれる人はどれだけいるだろう。私は信じきれない。なぜなら私は、特別な人間ではないからである
『バカの壁』のなかで、この精神的個性は否定されていたけど、これは非常に残酷なようで、現実である。私たちは目があり耳があり触覚があるから、他人を区別できているに過ぎない
もし、目が見えなくなってしまったら、私は
自分の心を保てるだろうか。見えてる現在でさえこれなのだから、相当きついだろう
私は他人である
そう考える方が、かえって健康的な気がしてくる